前半で基本のポートを3種類試飲し、後半はいよいよスペシャルポート(プレミアムポート)3種類のテイスティング! (セミナー終了後、参加者の皆様に、6種類の中で好きなポートトップ3を書いていただきましたが、プレミアムポート3種が圧倒的に人気でした!) 今回の会では、ポートワインがどのような食材と相性が良いのか、それを色々と試していただくために、カンタンなおつまみをご用意しました。 ポートワインを日常に取り入れていただけるように、あえて、スーパーで買える手軽なものを揃えてみました。 オスカーにとって、ポートは読書や映画鑑賞のお供で、特に食べ物を合わせたりはしないそうです。しかしながら、ポートは香りも味わいも複雑なので、いろんな食材との食べ合わせが考えられる。和食について、自分は詳しくないから、逆に皆さんに教えてほしいです、と話していました。 ちなみに、ポルトガルはワイン王国なので、食事中はポート以外のポルトガル産ワインを飲み、アルコール度数の高いポートは食前、または食後の楽しみなのだそうです。 ■土壌はシスト スペシャルポートのテイスティングの前にちょっとだけ土壌のお話。 ポートワインができるドウロ地方ではXISTO(シスト)という薄い岩のような土壌がメインです。 ドウロの畑で頂戴してきたシスト。皆さんに回して見ていただきました。 これは水を吸わない貧しい土壌で、ぶどうやオリーブくらいしか育たないと言われています。雨が降ると、水分を地下深くまで送ってくれるので、降雨量の少ないドウロでは、水分を求めて根が深くまで伸び、良質なブドウが育ちます。人間の食べ物で例えると、カロリーが少なく、ビタミンやミネラルが豊富な食材、そんなイメージだそうです。 スティルワインの場合、単一品種のワインをよく見かけますが(フランスの「シャルドネ」や、ポルトガルの「アルヴァリーニョ」など)、ポートワインは「ブレンドの妙」と言われ、「ブレンド」して造られるものがほとんど。 その「ブレンド」は、なんと畑の段階から始まります。その名も「フィールドブレンド」。いわゆる「混植」ですね。 なんとなくおおざっぱな感じがしますが、受粉の段階からブレンドが始まるので、化学的にもその方がワインにとって良いそうです。知れば知るほど、奥が深いポートワインなのです…。 ■プレミアムポート(スペシャルポート)3種類のテイスティング ○コリェイタ1996:ポートワインを瓶で熟成する「ルビースタイル」、樽で熟成する「トゥニースタイル」の二つに分けると、コリェイタは「トゥニースタイル」。 1996年に収穫されたブドウのみのブレンド。シングル・ハーヴェスト・トゥニーとも言います。オーク樽で14年間熟成されたワイン。 オーク由来の香りは、ナッティー、バニラ、ドライフィグ、プラムなどが感じられ、果実のような香りはあまり感じられません。ノンフィルターなので、5,6年後には滓が出てくるでしょう。 また、おもしろいことに、同じ1996年のコリェイタでも、ボトリングされた年によって、樽の中で熟成されていた年数が違うため、味わいも違ってきます。 ○LBV2007:LBV=Late bottled vintage こちらは「ルビースタイル」のワイン。 ヴィンテージポートが収穫後2年で瓶詰されるのに対し、LBVは4-6年ステンレスタンクで熟成させてから瓶詰されます。LBV2007は、2007年に収穫された品質の良いブドウのみを使い、2012年7月に瓶詰されました。 今すぐ飲むこともできますが、瓶内熟成もします。熟成と共に、濃いルビー色は淡く、ガーネット色、レンガ色に徐々に変化していきます。 ルビーに比べると、凝縮感が格段に増し、より複雑で、よりエレガント!ワイルドベリー、フィグ、ペッパーなどの香りも出ています。 ○ヴィンテージ2005:これはポートワインの最高峰! 最初にデキャンターに移したあのワイン! ヴィンテージポートも「ルビースタイル」です。 ヴィンテージポートとは、ポートワインの中でも生産量はわずか1%。ブドウもA級の特別な畑のものしか使ってはならず、非常に出来の良い年のみ、ヴィンテージ宣言が大々的行われます。ヴィンテージイヤーは10年間で3回か4回程度。本当に貴重なワインなのです。 このワインは、収穫年2005年の2年後、2007年10月に瓶詰されました。これは今後まだまだ、10年から50年という長いスパンで、ゆっくりと熟成していきます。樽は一切使わずに、ブドウのポテンシャルだけでなん10年も熟成するのって、すごいことだと思います。 色合い、香り、味わい、いずれもやはり格が違います!日常を忘れ別世界へ連れていってくれるような優美で芳香なスペシャルワインです…。 お家でのワインの保管方法についても説明がありました。ワインの保管は、10度〜14度くらいで温度変化ができるだけ少ない場所が理想的。キッチンは温度が上がりがちなので避けた方がよく、意外とガレージやベッドの下などがいいのでは、とオスカーは提案していました。 ■そして、スペシャルなケーキ プレミアムポートと合わせて、料理研究家栗山真由美先生にお願いして、ポートワインを使ったフルーツケーキを作っていただきました。 カットする前のケーキ。ずっしり重かったです。 普通はマデイラワインを使って作る「マデイラ・ケーキ」のポート版。ナッツやスパイスがたっぷり入って、プレミアムポートのように芳香な味わいでした。 栗山先生(↑)は、『ポルトガルおいしい旅日記-リスボンからアソーレス諸島まで』や、『こんなに使える酒粕のレシピ』 の著者で、お料理教室 Amigos Deliciosos を主宰していらっしゃいます。 今回は、裏方として、ラブリーなエプロン姿でお手伝いいただきました。どうもありがとうございました!! ■最後に 最初は時間を持て余してしまうのでは、と危惧していた2時間でしたが、質問もたくさんいただきながら、予定していた2時間はあっという間に過ぎてしまい、15分ほどオーバーしてセミナーは終了しました。 ヒロノもこの短い間にたくさん勉強させていただきました。これほど徹底的に一つのワイナリーとそのワインについて学んだのはこれが初めてだと思います。 これからもケヴェドのワインを飲むたびにオスカーのことを思い出すと思います。今回セミナーに参加して下さった皆様も、きっと同様なのではないかと思います。 メルカード・ポルトガルとしては初の生産者を招いてのイベント。生産者に来ていただくのは非常に有意義であることがわかりました。ポルトガルは遠いのでカンタンには呼べませんが、これからもぜひ企画したいと思います。 そして、これからはどんなに「ノープロブレム!」と言われても、必ずエアポートまで迎えに行こうと心に決めました!
2013/11/28 13:14 | ポルトガル関連イベント | コメント(0)
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