第85回 マデイラ島の手仕事、マデイラ刺繍

マデイラ島の手仕事、マデイラ刺繍

[2019.4.30]

ポルトガルには温かみのある手仕事が今も残っています。
それは本土から離れた大西洋に浮かぶ島、マデイラ島でも同じで、そこにはとても丁寧で繊細なマデイラ刺繍があります。
 
マデイラ刺繍の歴史は数世紀以上あると言われています。16世紀の文献にすでにマデイラで刺繍が作られていたという記述もあると聞きました。それは、マデイラワインがイギリスに直接輸出されるようになった頃です。チャールズ2世のもとへポルトガルからカタリーナ王妃が嫁いだ時代です。(カタリーナ王妃のストーリーはこちら
18世紀にイギリスのワイン商人の娘がこのマデイラ刺繍に惚れ込んで、本国へ持ち帰ったそうです。すると、イギリスや他のヨーロッパ諸国にある刺繍と少し雰囲気の異なるデザインが受け人気が出たそうで、そこから産業として確立されるようなります。
 
現在、一番有名なメーカーはボルダル(Bordal)です。1962年創業の会社で、今も伝統的な方法で刺繍製品を製造しています。
 
マデイラ刺繍はデザインの制作から始まります。1年を通して温かく花が咲き誇るマデイラ島。そのため、多くのデザインが自然からインスピレーションを得ています。

Bordalの工房では、窓から自然光が入る場所にデザイナーの部屋があります。キルビメーターもかっこいいです。

創業当初の写真。男性がデザインをしていたのですね。

Bordalのデザインは創業以来すべて保管されているとのこと、すでに40,000点を超えています。20世紀後半のデザインを参考にしたり、リニューアルしたりすることもあるとか。全く新しいデザインも大切ですが、昔からのデザインを少しずつ変えていくのも素敵なデザインの方法だと思います。
 
ワックスペーパーに描かれたデザインに沿って、細かな穴を開けていきます。とても繊細な作業です。機械を使用しているようで、ほぼ手作業です。

デザインに合わせ、ミシン目の様に穴を作っていきます。

ワックスペーパーに穴が開いた後は、特殊なインクをスポンジに吸わせて、それを布の上に引いたワックスペーパーの上に塗っていきます。その後、ワックスペーパーを外せば、綺麗に印がついているのです。

青いインクで印をつけていきます。スタッフさんの後ろにはこれまでのデザイン画がたくさん保管されています。

印が付いた布は、刺繍をする職人さんの手に渡ります。ここから細かい刺繍が始まります。工房内でも刺繍をする方がいますが、多くの場合、マデイラ島の各地に送られそれぞれのお家で作業されるそうです。特に女性が家庭内でできる仕事として親しまれてきました。
Bordalのお店の前では職人の方がいつもこのように座って縫っています。優しく写真撮影に応じてくださいます。
刺繍が出来上がると青い印を洗い流します。乾かした後に綺麗にアイロンがけをし、最後に外側の飾り部分は、余白部分をカットします。カットすることで、綺麗で洗練された刺繍の製品が出来上がります。

余白部分をカットしています。

ベッドリネンやテーブルリネン、タオルや子供服が主力商品で、現在もアメリカや欧州諸国を中心に人気があります。テーブルリネンはさっと1枚広げるだけで、上品で柔らかな雰囲気が出ます。

女の子のドレスもとても素敵です。

綿や麻を使用しているので、ブラウスやシャツはサラッと着ることができます。色は白だけではなく、水色やピンク、緑など様々な色を使用しています。可愛くなりすぎず、落ち着いた優しい雰囲気のある刺繍です。
 
少しずつ集めたいマデイラ島の手仕事です。
 
それでは、また次回!
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著者プロフィール

19歳の時にポルトガルに出会いすっかり虜になる。大学卒業後、日本で貿易実務、ロジスティクス、マーケティングの経験を積むが、日本とポルトガルをビジネスで繋ぎたいという気持ちが大きくなり渡ポすることを決意。ポルトガルに1年半留学しMBAを取得。在学中、現地企業やビジネスパーソンとの幅広いコネクションを築く。

現在はポルトガルジュエリーのブランド「フィリグラーナ・コン・アモール(Filigrana com Amor)」を立ち上げ、インポーターとして活動。日本とポルトガルを行き来しながら両国の情報を発信し、人・ビジネス間の交流が活発化するよう邁進中。

Web: http://www.shop.filigranacomamor.com/
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