第61回 人生そのものを歌ったファド

人生そのものを歌ったファド

[2018.3.26]

先日、リスボンに行く機会があり、久しぶりに本場のFado(ファド)を堪能してきました。

「哀愁」と表現されることが多いファドですが、最近は若手の歌手も続々と誕生し、幅広い世代に支持されています。

 

ファドは、19世紀にポルトガルで生まれたと言われています。大衆民謡で自らの運命や宿命を歌っています。多くの場合、ポルトガルギター(guitarra portuguesaギターラ・ポルトゲーザ)とクラシック・ギター(violaヴィオラ)、ファド歌手(fadistaファディスタ)で構成されます。

女性ファディスタの多くが黒いドレスやショールを身にまといます。
音色が独特で美しいポルトガルギター。

ポルトガルギターは12弦あり、ボディーが洋ナシのようにコロンとしています。なんとなく女性のような柔らかいラインが綺麗で、音色もどことなく情緒があります。日本ではなかなかお目にかかれないですが、ポルトガルのファドには必要な楽器です。

 

私はポルトガルに行くときは、ほとんど北部の町で過ごします。実は、ファドは北部ではほとんど聞かれておらず、多くの友人はファド歌手については知りません。ポルトにもファドを演奏しているレストランもありますが、旅行中にファドを楽しみたい場合は、リスボンで聴く事をお勧めします。コインブラにもファドがありますが、リスボンのスタイルとは少し異なります。

 

ファドの演奏は基本的に夜になります。

カサ・デ・ファド(Casa de Fado)と呼ばれるレストランやバーなどで聴くことができます。有名歌手が演奏するレストランから、お店の従業員や一般の人が楽しく歌い合うバーまで、様々です。

 

先日は、カーザ・デ・リニャーレス(Casa de Linhares)というレストランへ行って来ました。レストランのオープンは20:00から。海外からの観光客も多く人気店なので予約をすることをお勧めします。

店内の雰囲気

料理や飲み物を注文すると、パンと4種のパテが運ばれてきてしばらく会話を楽しみます。

パン入れが可愛くて思わずパチリ。

ポルトガル料理を楽しみながら待ちました。

だいたい30分後くらいにメイン料理がサーブされ、9時頃に最初のファドが始まりました。

こちらのレストランでは、数人のファディスタが3曲ずつ歌う形になっています。最初のファディスタの演奏が終わると、次の演奏まで約30分。

 

この日は、3番目にオーラ溢れるファビア・レボルダォン(Fábia Rebordão)、4番目に大御所のジョルジェ・フェルナンド(Jorge Fernando)が登場しました。

ファビア・レボルダォン(Fábia Rebordão)

ジョルジェ・フェルナンド(Jorge Fernando)

ジョルジェ・フェルナンドはヴィオラで1番目から演奏していましたが、最後はヴィオラを弾きながら素敵な歌声を披露してくれました。ロマンティックな声にすっかり酔いしれ、数日たった今も彼の歌声が私の頭の中で流れています。新世代トップファド歌手のマリーザの人気曲で「シュヴァ(Chuva)」という曲があります。実はこの曲を作曲したのがジョルジェ・フェルナンドで、彼自身もこの曲を歌っています。

 

ファドは、日常の風景や出来事、喜びや悲しみをサウダーデ(Saudade)というポルトガル独特の感情にのせて歌っています。人生そのもの、等身大で表現していることが多いのです。このシュヴァはまさにファドらしいと私は思います。

 

 

 

下記、歌詞の一部をご紹介します。

 

 

Há dias que marcam a alma    魂をとめた数日前

e a vida da gente        そして人々の人生も

e aquele em que tu me deixaste  あなたが私を残した

não posso esquecer       私はそれを忘れられない

 

A chuva molhava-me o rosto    雨は私の顔を濡らした

Gelado e cansado        そして凍らせて疲れさせた

As ruas que a cidade tinha     街中の道を

Já eu percorrera         私が既に通った道を

 

 

 

 

 

マリーザのシュヴァはこちら。

https://youtu.be/tC88Oyz8Khs

 

*レストラン情報*

Casa de Linhares 住所:Beco dos Armazéns do Linho 2, 1100-037 Lisboa

営業時間:20:00~深夜2:00

http://www.casadelinhares.com/

 

ファドは2011年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。若手アーティストたちを応援する流れもあり、良い形で次の世代へと受け継がれていかれてほしいと思います。

 

ファドが誕生したリスボンのモウラリア地区については、こちらのコラムで紹介しています。

https://www.m-portugal.jp/portugal_life/034.html

ファドを感じることができる小道がここから始まります。

リスボンと言えばファド。ポルトガルギターの音色を耳にすると、気持ちがすーっとリスボンに連れていかれる様な気がします。できれば本場のファドを堪能してもらいたいのですが、実は日本でも最近は楽しむことができる機会が増えています。日本人ファディスタ(ファド歌手)の方々のおかげですね。ファドについて日本語で読めるウェブサイトも多いのでライブ情報やファドが聴ける場所なども検索しやすくなりました。

 

機会があれば皆さんも是非ファドを聴きに行ってみて下さい。

 

では、また次回!

バックナンバー

RSS

  • 第82回 ポルト周辺!海の見えるカフェ・レストラン

    今日は私のお気に入りの、ポルト周辺で海の見えるカフェやレストランをご紹介したいと思います。

  • 第81回 最近増えています!ポルトガル発ブランド

    ヨーロッパの中で手先が器用なことで知られているポルトガル。
    これまで、フランスやイギリスなど、多くの有名ブランドの商品づくりを支えてきました。

  • 第80回 地元のお客さんに大人気!アヴェイロ郊外で開催される干しダラ祭り

    ポルトガルのソウルフード、干しダラ。現地ではバカリャウ(Bacalhau)と呼ばれ、とても愛されている食べ物です。

  • 第79回 王妃シリーズ①ポルトガルに大きな影響を与えたイギリス出身の王妃

    陰で王室を支え、時には歴史を動かした、強く生きた女性たちを紹介していきたいと思います。

  • 第78回 クリスマス飾り、プレゼピオ。

    ポルトガルの12月と言えば、もちろんクリスマス。

  • 第77回 ポルトガルの運命を決めた、アルジュバロータの戦い

    今日は、ポルトガルの歴史の中で正に『その時歴史は動いた』と言える出来事を紹介したいと思います。

  • 第76回 建物そのものが美しい!リスボンでお勧めのアズレージョ美術館

    今日も前回に引き続き、私がとても気に入っている美術館をご紹介します。

  • 第75回 気分はシンデレラ!必見の馬車博物館

    ポルトガルの豪華な国立馬車博物館をご紹介します。

  • 第74回 コルク生産、世界一!

    ポルトガルはコルクの生産量が世界一なのです!

著者プロフィール

19歳の時にポルトガルに出会いすっかり虜になる。大学卒業後、日本で貿易実務、ロジスティクス、マーケティングの経験を積むが、日本とポルトガルをビジネスで繋ぎたいという気持ちが大きくなり渡ポすることを決意。ポルトガルに1年半留学しMBAを取得。在学中、現地企業やビジネスパーソンとの幅広いコネクションを築く。

現在はポルトガルジュエリーのブランド「フィリグラーナ・コン・アモール(Filigrana com Amor)」を立ち上げ、インポーターとして活動。日本とポルトガルを行き来しながら両国の情報を発信し、人・ビジネス間の交流が活発化するよう邁進中。

Web: http://www.shop.filigranacomamor.com/
www.eleuteriojewels.com
E-mail:s.kiriyama@worldfiligranakk.com

■店長ブログトップはこちら→

https://www.m-portugal.jp/blog2/

 

■メルカード・ポルトガル・オンラインショップはこちら→

http://www.m-portugal.jp/

 

■ポルトガルジュエリー・オンラインショップ「フィリグラーナ・コン・アモール」はこちら→

http://www.shop.filigranacomamor.com/


■コラム「Portugal Lifestyle ポルトガル流、幸せなライフスタイル」はこちら→
http://www.m-portugal.jp/portugal_life/

 

■コラム「毎日飲みたいポルトガルワイン」はこちら→
http://www.m-portugal.jp/portugal_winenavi/

画像のみキャプション

ポルトガルワイン検定

※外部サイトです

食品

ポルトガルの食品
その他の食品

ワイン

ピックアップワイン
ワインセット
ポルトガル種類別
ポルトガル産地別
その他ワイン

雑貨

ポルトガルのお土産
キッチン雑貨

ギフト

オリーブオイルギフト

お支払方法

  • クレジットカード決済:VISA、MASTER、DINERS、JCB、AMEX、DISCOVERがご利用いただけます。
    • visa
    • MasterCard
    • DINERS
    • JCB
    • AMEX
    • DISCOVER
  • 代金引換:手数料220円(商品合計5,400円以上で無料)
  • 銀行振込:手数料お客様負担(ジャパンネット銀行)
    • 2回目までは前払い、3回目以降は後払い
    • 高額のご利用は、先払いとなります

配送について

  • 全国一律 700円(商品合計8,000円以上で送料無料
    • クール便手数料 220円
    • 沖縄県は別途540円ご負担ください。
  • 送料無料条件
    • 商品合計8,000円以上お買い上げ
    • ワインを6本以上お買い上げ
    • 送料無料商品との同封

ギフト包装について

  • ギフト箱、包装紙、リボンまたは熨斗:一包装につき216円
  • 簡易ラッピング(ギフト袋&リボン):一包装につき108円
詳細はこちら

営業日カレンダー

2024年4月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        

2024年5月

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

 は定休日となります

ページトップ

【ポルトガルワインとオリーブオイル Mercado Portugal】
www.m-portugal.jp
株式会社メルカード・ポルトガル
〒248-0013 神奈川県鎌倉市笹目町4-6
TEL:0467-24-7975

当店では、未成年者への酒類の販売は固くお断りしております。

Copyright © 株式会社メルカード・ポルトガル all rights reserved.