美しいポルトガルのタイル“アズレージョ”
2016.12.8
ポルトガルの街を歩いていると必ず目にするもの。
それがアズレージョと呼ばれるタイルです。
青い絵が目を引きます。ポルト・サンベント駅のアズレージョ。
私は寒くなってくると、なんだかこのアズレージョを眺めたくなります。
歴史があって絵に温かみがあるからでしょうか。
もしかしたら、初めてポルトガルを訪ねた季節がこの時期だったからかもしれませんが、
なんだかノスタルジックな気分にさせてくれます。
ポルトガルの街を色鮮やかにするこのアズレージョ、カラフルなものから単色のものまでいくつかの種類があります。アズレージョはイベリア半島によく見られますが、元々はアラブの文化に強い影響を受けていたスペインで用いられており、15世紀に入るとポルトガルにもその技法が伝わったようです。
その時代に主流だったのは幾何学的な模様のモザイクタイプ。
こちらはアルハンブラ宮殿内のタイル。アズレージョを思わせます。
ポルトガルのマヌエル1世がスペインのアンダルシア地方を訪問した際、大変気に入って持ち帰ったとのこと。確かにイスラム建築の最高峰と言われるアルハンブラ宮殿には、アズレージョを思わせる装飾が多くみられます。
16世紀になるとカーペットスタイルと呼ばれるスタイルが見られました。

私はこのカーペットスタイル、お気に入りです。リスボン郊外の教会にて。
その後、17世紀に入ると人物や花、動物といった絵柄も取り入れるようになり、歴史上の物語も描かれるようになりました。ポルトガルの多くの教会や建物には、そのようなデザインのアズレージョが飾られています。
ポルトのアルマス聖堂
アルマス聖堂は現在も地元の人々に愛されていますが、アズレージョに覆われた壁が美しく、観光地としても有名です。ポルトのショッピングストリートでもあるサンタ・カタリーナにあります。
また、ワインの産地でもあるポルトガル北部のドウロ地方では駅にも美しいアズレージョが飾られています。
ドウロ川上流にあるピニャン駅
ぶどうの収穫様子が描かれています
青と黄色を基調に綺麗に描かれています。その内容はワインの生産に関係のあるものばかりで、ぶどうの収穫の様子やポルトの街へワインを運搬する様子などがあります。
アズレージョは公園にもさりげなく飾られています。
良く見るとその土地の歴史が描かれていること多く、柔らかい絵柄のせいでしょうか、なんだかタイムスリップした気分にさせてくれます。

リスボンのサンタ・ルジア展望台には大地震前のリスボンの様子が伝えられています
絵柄ではなく幾何学模様をそのまま壁に飾っていることも多く、街の中ではレストランやアパートに目をやると様々な模様を見つけることができます。
隣同士が違う模様や色を使っているのですが、どこか統一感があり、これがポルトガルらしい独特な街並みを作り出しています。

リスボンの街並みになじむアズレージョ

ポルトガルで最も有名なエッグタルトのお店、パステイシュ・デ・ベレンにも。
お店の看板にも用いられていることが多いです
特にアズレージョを探しに行かなくても、ふらっと散策しているだけで思いがけず美しいアズレージョに出会うことも多いです。

リスボンの裏道で出会った青いドアとアズレージョ
いかがでしたか。
紹介したいアズレージョがたくさんありますが、あまりにも多すぎるのでまた別の機会に載せたいと思います。
ポルトガルでは近年、蚤の市などでアンティークのアズレージョが売られていることがありますが、実はこれ教会や由緒ある建物から盗まれたものが混ざっているようです。文化遺産を守るためにも、お土産として購入する際は正規のお店で買ってください、というポスッターが張られているのを見たことがあります。
皆さんもポルトガル旅行の際にはお気をつけくださいね。
ではまた次回!
著者プロフィール
19歳の時にポルトガルに出会いすっかり虜になる。大学卒業後、日本で貿易実務、ロジスティクス、マーケティングの経験を積むが、日本とポルトガルをビジネスで繋ぎたいという気持ちが大きくなり渡ポすることを決意。ポルトガルに1年半留学しMBAを取得。在学中、現地企業やビジネスパーソンとの幅広いコネクションを築く。
現在はポルトガルジュエリーのブランド「フィリグラーナ・コン・アモール(Filigrana com Amor)」を立ち上げ、インポーターとして活動。日本とポルトガルを行き来しながら両国の情報を発信し、人・ビジネス間の交流が活発化するよう邁進中。
Web: www.filigranacomamor.com
www.eleuteriojewels.com
E-mail:s.kiriyama@worldfiligranakk.com