ナザレの伝説
2016.6.3
皆さん、こんにちは。
いよいよ6月。ポルトガルはとても気持ちの良い、旅行にも最適な季節に入ります!
雨も少なくなりポルトガルらしい青空を楽しめますよ。
私は今、ポルトガルのビーチに行きたくてうずうずしています。
特に皆さんにもおススメしたいのがナザレ(Nazaré)。ここは観光地でもありながらポルトガルらしさが残る漁業の町です。リスボンもアルガルヴェもいいけれど、やっぱりどこかのんびりしていて焼き魚の匂いがふわ~っと薫ってくる場所、いいですよね。
ポルトガル人と言えばビーチ。家族そろってまっすぐ向かっています。
歴史が長いポルトガルにはたくさんの伝説があります。(アーモンドの伝説はこちら)
私は伝説や歴史を知るのが好きなので、ポルトガル人からよく教えてもらうのですが、ナザレにもちゃんとありますよ!
それは1182年の9月14日まで遡ります。
ナザレより少し内地にあるポルト・デ・モシュ出身の貴族ドン・フアス・ロウピーニョ(D. Fuas Roupinho)は、この日霧の中で狩りをしていました。彼が狙いを定めていたのは鹿。
その鹿は深い霧の中へと走っていきます。逃すまいと追いかけるドン・フアス。
どんどんと追い詰めていき後もう一息!ということまで来たとき、彼はハッとしました。
大変だ!この先はもう崖!馬はすぐには止まれない!!
そう、彼は鹿に夢中のあまりナザレの崖まで来てしまっていました。
この崖、上の写真の奥に見える通り、海までの高さはなんと318メートルの断崖絶壁です。
崖から落ちかかっていた彼の目に、小さな洞穴に置かれた聖母マリア像が飛び込んできました。そして彼は必死に願ったのです。
ああ、マリア様!どうか私をお助け下さい!
すると不思議なことに奇跡的に馬の足が止まり、危機一髪、命を助けられたのです。
伝説を物語る絵画 http://joanasofsky.blogspot.jp/
この時の馬の蹄の跡は今でも崖に残されています。(嘘か本当かはわかりませんが…)
ドン・フアスはこの奇跡に感謝し後世に伝えていくため、この崖の上に聖母マリア像のための礼拝堂を建てました。
小さな礼拝堂。高台のシティオ地区にあります。
ちなみにこの聖母マリア像は4世紀にパレスチナにある「ナザレ」という町から、持ち込まれたと言われています。そのため、ポルトガルのこの地もナザレと呼ばれるようになったとか。今では14世紀に建てられた立派な教会、ノッサ・セニョーラ・ダ・ナザレ教会(Igreja de Nossa Senhora da Nazare)にて保管されています。
ポルトガルはカトリックの国です。伝説の多くが宗教にちなんだお話です。
知っていて訪れるのと、知らないで訪れるのでは、感じるものがまた違うと思います。
日本人には馴染みにくい話もありますが、少しずつこのコラムでもご紹介していきますね。
もう一つ、ナザレで興味深いテーマがあります。
それは伝統的な女性のスカートで、実はこれ7枚も重ねてはいているのです。
ナッツ売りの陽気な女性。この日は歌って踊ってくれました!
可愛いお人形のスカートも手作りです。
なぜ7枚も重ねているのか、もちろん理由があります。
これについてはまた別の機会にご紹介します。
魅力たっぷりのナザレ。
天気がいい日はまるで天国にいるような気持ちになりますよ!
ナザレのビーチはシティオ地区から眺めてくださいね。
ケーブルカーで簡単に上がれます。
ナザレは、リスボンの北120㎞ほど離れたところに位置します。
アクセスはバスが一番便利で、リスボンから2時間くらいです。
バス会社はこちら:http://www.rede-expressos.pt/
ポルトガル旅行を計画されている方、少し足をのばして行ってみて下さい。
著者プロフィール
19歳の時にポルトガルに出会いすっかり虜になる。大学卒業後、日本で貿易実務、ロジスティクス、マーケティングの経験を積むが、日本とポルトガルをビジネスで繋ぎたいという気持ちが大きくなり渡ポすることを決意。ポルトガルに1年半留学しMBAを取得。在学中、現地企業やビジネスパーソンとの幅広いコネクションを築く。
現在はポルトガルジュエリーのブランド「フィリグラーナ・コン・アモール(Filigrana com Amor)」を立ち上げ、インポーターとして活動。日本とポルトガルを行き来しながら両国の情報を発信し、人・ビジネス間の交流が活発化するよう邁進中。
Web: www.filigranacomamor.com
www.eleuteriojewels.com
E-mail:s.kiriyama@worldfiligranakk.com